教授挨拶
教育・診療・研究に加えて多方面における
社会活動に貢献しています
2015年10月1日付けで歯科口腔外科学講座教授を拝命いたしました小林恒(わたる)です。弘前大学医学部附属病院歯科は、昭和42(1967)年4月1日に設置され、昭和44(1969)年歯科口腔外科と改称し現在に至っています。また、歯科口腔外科学講座は、昭和54(1979)年4月1日、弘前大学医学部における17番目の臨床系講座として開設されました。昭和49(1974)年に鈴木貢先生が初代診療科教授に就任し、平成6(1994)年には2代目の木村博人先生が教授に就任されました。先輩達の努力により現在の歯科口腔外科が成り立っており、本学部・附属病院における教育・診療・研究に加えて多方面における社会活動に貢献しています。これからは私たち教室員の努力で臨床と研究においてさらなる発展を目指して邁進していく所存です。
教育
医学部医学科における教育は、年間15回の臨床系統講義と学生一人当たり1週5日間の臨床実習を担当しております。人体の構造・機能と疾病に幅広く対応できる医療人の育成を念頭に、医学科学生にとっては歯科学・口腔外科学を系統的に学ぶ最初で最後の機会であることを強調しつつ、興味を持って学習できるよう種々の工夫を重ねております。また、保健学科看護学や学外のパラメディカル育成施設においても歯科口腔外科学を教育する機会を得ております。
診療
歯科口腔外科の診療は、歯・歯周組織の疾患に加え、口の粘膜、顎の骨や関節などに起る様々な病気を扱っています。代表的な疾患は、「顎骨骨折」、「下顎前突症」、「顎骨内良性腫瘍」、「口腔がん」などですが、当科は県内唯一の高度な口腔外科専門診療施設のため、県内全域と秋田県北地方から患者さんが紹介されてきます。とくに口腔がんでは根治性と機能温存を目指した「切らずに治す」治療を行っています。また、開業医との病診連携を密にして地域に密着して医療を心がけております。
研究
研究活動は、顎口腔領域に発生する種々の疾患の病態を解明し、新たな診断・治療法の開発を目的としています。主な研究対象は端的に言えば「骨」と「がん」になります。最近では、破骨細胞・骨芽細胞の活性化と炎症あるいはメカニカルストレスとの関連において、各種骨吸収因子のシグナル伝達経路遺伝子発現等を検討しています。これらの研究は、臨床的な診断・治療につながるよう、最新の分子生物学的研究手法も取り入れ、大学院生を中心に実験研究を継続しております。口腔がんの研究では、超選択的動注化学放射線治療に関する臨床的研究に重点をおいています。さらには,コホート研究にも力を入れており口腔と全身との関連性に関して研究を行っています。
社会活動など
県内外の教室関連病院に常勤・非常勤医師を派遣し、地域医療の発展・向上に貢献しております。また、平成18年4月から始まった「歯科医師臨床研修制度」では、本院に「歯科医師卒後臨床研修室」を開設しております。過去4年間、毎年数名の歯科研修医(募集定員5名)を受け入れ、人格の涵養にも留意しつつ、幅広い医学的知識に基づいた全人的な歯科診療技能の修得を目標に若き歯科医師の育成に励んでおります。