顎変形症

顎変形症

顎変形症とは

顎変形症とは、上顎または下顎あるいはその両方の大きさや形態・位置などの異常によって、顔貌の変形とかみ合わせの異常を起こしている状態をいいます。顎変形症の治療とは、かみ合わせを正常な状態に戻すことにより、二次的に顔貌の変形が治ることになります。当科では、一般の矯正治療で対応が難しい患者に対する手術(外科的矯正治療)を行っています。顎変形症に対する矯正治療及び手術には保険が適応されます。

治療の手順

顎変形症の手術による治療の場合には手術により顎を移動した時に、かみ合わせが合うように手術前に予め歯の位置を移動させおくことが必須で、これを術前矯正といいます。当科と連携した矯正専門医による術前矯正が終了した後に入院して頂き手術を行います。手術後もかみ合わせの微調整が必要となりますので、術前矯正を行った矯正専門医により引き続き術後矯正が行われます。

入院期間は手術方法によって約2週間と約4週間を予定していますが、患者の術前・術後の全身状態に応じて対応しています。

手術方法

下顎骨切り術(下顎枝矢状分割術・下顎枝垂直骨切り術)
上顎骨切り術・オトガイ形成術 等。

●上顎骨切り術

上顎骨を下鼻道の高さで水平に骨切りし、上顎の骨片を完全に遊離させ、理想的な位置に上顎を移動させる方法。

●下顎枝矢状分割術

下顎枝を矢状方向に内外の骨片に分割し、理想の咬合位置まで骨を移動させる方法。

●オトガイ形成術

オトガイの骨を水平に骨切りを行い、オトガイの位置や形態を修正する方法。

外科的矯正治療

口腔内写真

エックス写真

当科の特徴

下顎枝矢状分割術は、適応症が広く利点が多いため最も頻繁に採用される術式です。合併症として一時的な下歯槽神経麻痺の出現が多い点があげられます。当科では、下歯槽神経麻痺出現は仕方がないことではなく、全く出現させないことを目標にしています。下歯槽神経麻痺出現に関して骨のみを切削し軟組織を損傷させない特殊な切削機器であるピエゾサージェリーを用いると従来の方法よりも神経麻痺の出現が少ないとの報告があります。

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